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高級家具として知られる府中家具(婚礼家具)の需要減少に伴い、家具業界では様々な取り組みが行われています。今回、新規の事業展開で木工業界に新しい風を送る、3社を取材させていただきました。

 

◆◆◆松岡家具製造株式会社◆◆◆

『JAPANブランド育成事業からの独り立ち 府中の松岡から、世界のMATSUOKAへ』

 平成18年JAPANブランド育成支援事業に参加、その後独自の海外進出への取り組みを続け、「世界のMATSUOKA」として活躍の場を広げる松岡家具製造(株)。

 平成19年の展示会へ参加、クオリティの高い府中の家具は高い評価を得たが、売れるまでには至らなかった。「いいものであることを相手に伝えないと売れない」コミュニケーションの大切さを痛感した。

 そこでアメリカの大手家具メーカーにいた人物を現地スタッフとして雇用し販促を任せた。平行して、デザイナーも海外から迎え、日本の高度な技術を駆使して作る、世界が求めるデザインの家具を製造した。

 平成22年ノースカロライナ州ハイポイント展示会へ出展、その際現地のPR会社と契約し、専門誌などへの掲載や展示会場でのパーティなどで集客。大反響の中、多数の取引がスタートした。展示会を開催するたびに口コミで広がり、主要都市に1店舗の代理店を置くまでに。現在、ハイポイントに常設展示場を持つまでになった。

 ▼代表取締役社長 守次 拓さん

 和のテイストから抜け出し、世界が求める家具を製造したこと、現地の人材を確保し、小売店と信頼関係が築けたことが、ここまでこれた要因ですね。当社のツヤ出し塗装の技術が認められ、海外のデザイナーからオファーが来るようになりました。今年、現地の販促スタッフのトップを、インテリアデザイナー向けのセールスに強い人材に交代しました。世界の富裕層は家具を購入する際、インテリアデザイナーに依頼する。家具をインテリアの一つと考えているからです。小売店とインテリアデザイナー、2つの販路が構築できてこそ、世界のブランドとして確立できると思っています。

 

 

◆◆◆若葉家具株式会社◆◆◆

『エコファニチャー普及への取り組み 家具のある暮らしを提案するSHOP「のとこ」』

 アジアやロシアなどに頼っているナラやタモの供給が年々不安定になる中、若葉家具()は平成19年アメリカの広葉樹を使った家具ブランド「kitoki」を、府中家具の土井木工()と福岡県の大川家具2社、東京のデザイナー2名で共同開発した。以前より環境保全に配慮された森林管理の下で伐採される同広葉樹の普及に関わり、安定供給できる素材の確保と、今まで使われなかった節や割れなどを木の個性としてデザインに積極的に取り入れ、余すことなく有効利用するエコファニチャーの取り組みが同社の指針となった。

 昨年12月には1階ショールームを改装、家具を中心に、生活の道具(雑貨など)を取り扱う店「暮らしの音 のとこ」をオープン。敷居の高いショールームを、雑貨の販売やイベント、各種教室などを開講し、気軽に家具と触れ合う場にした。空間デザインには、東京で活躍するデザイナー小泉誠氏に依頼、クオリティの高い生活道具や木のおもちゃなどを取り扱う。

 ▼代表取締役社長 井上 隆雄 さん

 家具調仏壇や別注家具、手作り家具など、従来のタンスのイメージから脱却し、府中家具の技術力を活かした、新しい柱となる自社のオリジナルを持ちたいという目標に、kitokiはいいきっかけになりました。府中家具=箱物からリビング・ダイニングへの転換にもなった。デザイナーの小泉さんとの出会いから、家・家具・雑貨・・・住空間全てに関わるものが道具であるという考えに共感し、家具のある暮らしを提案する場として「のとこ」を作りました。有害物質を含まないエコで安全な家具を提供したい。いつか家具を見据えた家造りができたら・・・と思っています。

 

◆◆◆ 株式会社トイロ ◆◆◆

『ネットショップ事業からの広がり 「家族の絆」、そして「木育」・木のおもちゃ』

 「家具の里(()トイロ)」が、婚礼家具の小売業の低迷に伴いネットショップに参入したのは平成12年のこと。インターネットショッピングモールとして知名度を上げていた楽天市場に、府中の熟練職人が作った民芸家具を出店したのが始まり。その後徐々に業績を伸ばし、平成18年には年商3億円弱、取扱商品も6000点余り、スタイリッシュな調度品も扱う総合インテリアサイトに成長した。しかしその後ネット内での競合店の増加、大手家具メーカーがチェーン店を全国に増大、安い家具が店頭に並び始め、平成19年頃から売上が激減。そこで再度ネットを利用する顧客を見直し「家族」をテーマにした商品構成に変えた。そしてクオリティの高い体に優しい安全な家具、家族の団欒や絆を大切にする商品などを厳選してラインナップ、業績は回復、来期には新卒者3名(現従業員22名)の入社が予定されている。現在NPO法人『府中ノアンテナ』と一緒に「木育」の活動にも参加、先頃木のおもちゃを完成させ、市内を中心とした木工業数社が製造を担当、ネットでも販売を始めた。

▼代表取締役社長 龍田昌樹 さん

 平成19年業績が落ちたのを境に、『家族』をテーマにした商品を取り扱うようになり、木と家族、木と子どもの関わりの大切さを考えるようになりました。木が育つ森や林、そしてものづくりの精神の継承など、ゲーム世代である親も一緒に学び知ることが大切だと気づきました。親子で学習机を作る「つくえつくろう」や木のおもちゃ「KiAS(きたす)」の製作販売もその一環。モノを大切にし、感性を育み、親子の絆を深める、府中ならではの「木育」を、これからも発信していきたいですね。

 

 府中家具の歴史

  府中市で箪笥作りが始まったのは300年ほど前の宝永年間、内山円三が大坂で箪笥の製法を習得し、帰郷後作り始めたといわれています。

  大正時代、第一次世界大戦のバブル景気で家具の需要は急増し、職人の数も増え、府中に家具産地が形成されました。

  そして戦後、府中家具は他産地に先駆けて「婚礼家具セット」を開発し、大きな転換期を迎えます。高度経済成長により高級品へ需要が高まり、昭和40年代後半には団塊の世代が結婚適齢期を迎え、高級な婚礼家具が爆発的にヒットしました。府中家具産地はそれを契機に飛躍的な発展を遂げました。

 

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